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◇・エデンの光と影・◇~4~

 

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~天使界でも特級レベルにある、トーナン神高等学園~

その敷地内にある神殿建築を模して建てられた別館の近くに、教高神イリエが管理する書庫が、独立するように建てられていた。

この学園の生徒とは何の関連性もない書庫なのだが、毎日のように絶えず女性天使が柱の陰に集まり、教高神の容姿端麗な姿を一目見ようと、いつ開かれるか分からない扉を見つめ続けている…

 

 

 今、その書庫内には、教高神が真っ黒な未熟天使コトコを相向かいに膝に乗せ、2人きりで言葉無く見つめあっていた。

 開け放たれたテラスから入り込んできた優しい風が、コトコの頭の上に花びらを落としていく。それと同時に風の悪戯なのか、艶やかな長い黒髪が教高神の頬にふわりと触れては、サラサラと舞落ちていった。

 「あの…」

 「……」

 少し前から教高神の膝の上にちょこんと座らされているコトコは、教高神と視線を合わせているのが恥ずかしくて耐えられなくなり、真っ赤になってしまった顔を俯かせた。

 「ごめんなさい…また、だね…」

 「……」

 「迷惑かけて…ごめんなさい……」

 「その言葉はもう聞き飽きた。-ったくお前ってやつは。いいからほら、翼を広げて天に伸ばせ」

 苛ついた教高神の声に震えながら、コトコは小さく頷き、可愛らしい黒い翼をこれでもかと言うほど、美しいステンドグラスの嵌った天窓に伸ばした。そしてぎゅうっと目を閉じ、唇を噛んだ。

 「なあ、そんなに力まなくったって…別に痛い事するわけじゃないだろ?」

 「う…翼の付け根とか見られるの恥ずかしいんだもん、痛くないけど色々大変だし///

 「は?何が大変何だか知らないが、こっちだって結構‘神力’消耗するんだぞ?いい加減わかってるだろうが」

 「………ごめんなさい…」

 「ったく…」

 教高神はぷるぷると頭上で震える黒い翼を見上げて意地悪く口角を上げると、コトコの耳元で囁いた。

 「―おまえ、毎回意識しすぎ」

 ///そんな事…//////

 「安心しろ、おまえのお子様みたいな翼や、色気のない背中に欲情するほど馬鹿じゃない」

 教高神は楽しそうな顔でそう言いながら、コトコの髪に舞い落ちた花びらを長い指で摘まんでは、ジュータンに落としている。

 「さあ、やるぞ」

「うん…」

教高神は小さな後頭部を抱きかかえると、華奢な身体をグイッと引き寄せた。そしてコトコのまあるい額を自分の心臓に押し当て、もう片方の手を翼の生え際に押し当てる。

二人の間に空間は無く、密着した状態で動かずにいると、背中に当てられた教高神の手の平から白く神々しい光が発せられ、黒い翼を徐々に包み込んでいく…

 「ん…やぁ…熱っ……はぁ…っ」

「我慢…しろって……くっ」

 白い光は天窓のステンドグラスの光と重なり合い、まるで妖精界にでも紛れ込んでしまったかのような色を発し、書庫に不思議な空間を作り上げている。

 身体を震わせ、珠の様な汗を浮かべたコトコの様子を見ながら、教高神は更に集中して神力を強めていく。

 「ふあぁ…ん、も…イリエ…く…」

 「もう少しだから我慢しろって!ほら集中!」

 「っんん…ぅ……ん!ぁあっ…あ…!」

 放たれていた光が翼の生え際に集中した瞬間、コトコは小さな悲鳴を上げ、身体を捻って背筋を仰け反らせた。

天に伸びていた黒い翼は、透き通るような肌を持った背筋にシュンーと吸い込まれ、その姿を消した…

 

 

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◇・エデンの光と影・◇~3~

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重く響いた教高神の、怒気を含んだその言葉。

もじもじと指を絡めながら、コトコは様子を伺うように、チロリとそのシルバーがかったブラウンの瞳を何度も盗み見る…

その端正な顔の眉間にはクッキリとしわが入り、眼光は鋭く光っていた。

 「あ…ご、ごめんなさい…」

 「いいから…ほら練習だ、その翼、今日こそ自力ででおさめてみろ」

 淡い光が注ぐ長椅子にゆったりと座った教高神は、機嫌悪そうに溜息を付いた後、コトコに命令した。

 「う…うん…」

 コトコは、他の天使が当たり前に出来る‘翼を背におさめる行為’を、幼い頃から何故か習得出来なかった。

先ほどのように悪戯で脇腹や二の腕を少しでも突付かれただけでも敏感に反応し、翼は背から簡単に姿を現してしまう。

なのでその後自分一人の力でおさめる事など、皆無に等しいのだ。

 「あう~~うう~~」

両目をぎゅっと瞑り、神にお祈りするように両手を強く組んだ状態で唸っている姿を見て、教高神は腕を組み、再び大きなため息をついた。

 「おまえなあ、常日頃から言ってるが、翼を背におさめておく事は当り前の事なんだぞ。いい加減できる様になれよ、気を引き締めておく鍛錬の一つにもなる。おまえの頭の中には大きなプリンでできてるのか?」

 その言葉を聞いた途端、コトコはぎゅっと瞑っていた瞼を大きく開き、ぱっと顔を輝かせた。

 「プリン!あたしプリン大好き!とくにイリエ君のおばさんが作った花蜜のかかったミルクのプリンが一番大好き♪」

 教高神はコトコの能天気さにあきれ、やれやれと肩を落とした。

組んでいた腕を解き、額に手の平を当てながらぴょんぴょんと跳ね回るコトコを見て、もう言葉も出ない。

 「でもね、プリンよりも何よりも誰よりも大大大好きなのは…ジャーン!イリエ君よ♪///

 「………おまえなぁ、ったく何歳だよ。まだまだお子様だな」

 教高神のそのたった一言でぷくりと頬を膨らませたコトコは、可愛らしくぽってりとした、まるでサクランボの様な唇を尖らせた。

ぱたぱたと足早に教高神に近づいて目の前に跪くと、見上げる様に顔を近づけてきた。

 「もうッ!この間16歳になったもん、立派なレディ-よ!?あとちょっとしたら、ミカエル様みたいな綺麗な翼に生え変わるわ!背だって伸びて、グラマーですんごく美人になるもの!」

ぷりぷりと怒っているコトコを暫くの間放置し、冷ややかな視線を送っていたが、そのコロコロと変わる表情を見ておかしくなり、つい ぷっと吹きだしてしまう。

 「なんで笑うのよ!レディーに対して失礼だわ!!」

 「ああ、悪い、つい…。プッ、ククク……」

 教高神が笑い始めた事で、コトコは少し拗ねたような表情を浮かべると、今度はぶつぶつと独り言を呟きはじめた。

 「もういいもん、わかってるもん、でもきっと、素敵な素敵な天使になるわ…きっとよ?だから傍にいて、ずっと私の成長を見ててよ、イリエ君…」

 大きな黒曜石の様な瞳が潤み始め、真っすぐに見つめられた瞬間、教高神は小さな罪悪感に似た感情にとらわれ胸が苦しくなり、慌てて視線を逸らせた。

 この理解できない感情を吹っ切る様に一度立ち上がると、眉間にシワを寄せながらすぐに座りなおす。大きく息を吸い込んでからゆっくりと吐き出し、コトコと視線を合わせた。

 「ああ、見ててやるよ。俺が驚くほどの美しい翼を持った天使に成長した姿を見せてみろ」

 「本当!絶対よ♪」

 

トコの花が咲いたような笑顔を目にして、ドクンと跳ね上がった教高神の心臓。顔が熱くなってきた事に気が付き、それを誤魔化す為に、コトコの小さな頭をぽんぽんと軽くたたいた。

 「さて、お遊びはここまでだ。ほら、練習練習、やってみろ」

 「は~い、でも本当に出来ないんだけどな…なんで皆できるのかなぁ?わたし、別に出しててもいいと思うんだけど…入江君のおばさん綺麗だって言ってくれるし…」

 「………お袋は別だ。おまえな、なんで翼をおさめておくのか習っただろ?授業ちゃんと聞いてたのか?小学園の弟のユウキだって出来るっていうのに。 あいつなんか幼学園中には完璧に出来るようになったんだ。はずかしくないのか?」

 未だに跪いたままの状態のコトコは、教高神に注意された途端笑顔を引っ込め、しゅんとして俯いてしまった。

 「お袋がおまえの翼が気に入ってて、綺麗だからって普段から家の中で出しっぱなしにさせてるのもいけないんだろうが…俺の力を借りなくてもちゃんとおさめていられるようになれって毎日言ってるだろう!」

 「…頑張ってるけどどうしても出来ないの…しまっておくと背中がウズウズして、止まらないんだもの、結構苦しいんだから。イリエ君は幼学園入るずっと前から出来てたんでしょ?でも、私は……無理よ、なんかそんな気がする。出しておくのが普通な気がするの」

 「あのな…おまえのいる特下級のF組の奴らでもできてるんだ?そいつらと同じレベルのお前が何で出来ないんだよ」

 「そ、それは…わかんないわ…へへへっ…でもね、たとえ翼が出てても皆何も言わな…」

 片手を上げてコトコの言葉を制した教高神は、もういい、とばかりに頭を左右に振った。

 「もういい…」

 「あの…ぅえ…ごめんなさぃ…クスンッ…」

 それ以上言い返す事が出来なくなり、ポロポロと涙を流し始めたコトコ。教高神は今日何度目かの溜め息をついた後、コトコを立たせた。

 「ほら、ちょっと腕上げろ」

 「うん…」

 両方の手で、コトコの細い腰を抱え込むようにして持ち上げた教高神は、自分の膝の上に跨がせるようにストンと座らせた後、コトコの陶磁器の様な真っ白な頬を、大きな手の平で包み込んだ。

 

 

 

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◇・エデンの光と影・◇~2~

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ガチャ―ガチャリ…ガチャン―

 

教高神イリエの手により、書庫内の扉に設置された頑丈な内鍵が掛けられた。

知性を司る天使達が書物を胸に抱き、全能の神を仰ぎ見る姿が見事に掘り込まれた大きな木製の豪奢な扉。

教高神イリエが管理を任されているこの書庫は、天界、天使界、人界を治める天聖大王神デルア、もしくは教高神イリエの許可が無いと入出禁止であり、禁書があるため、複雑な仕組みの頑丈な鍵で常に扉を閉める事が義務付けられている。

柔らかい光が天から注ぐように、ステンドグラスで作られたアーチ状の天井をもつ書庫には、壁際にそってぐるりと螺旋階段が作られている。 見上げると後ろに倒れてしまう程の高さの書棚ではあったが、それでも足りないのかあちこちに本が平積みに置かれていた。

「わ~い♪おじゃましま~す♪♪」

「おいコトコ走るな!大きな声出すんじゃない!静かにしろって…何度言わせる気だ!」

 限られた人物以外入室禁止の聖域…

だというのに、真っ黒な翼を持つ準天使コトコは、中に入った途端元気よく走り出した。

教高神の言葉を無視し、それらの貴重な本に全く関心を示す事無く、真っ直ぐ大きなガラス張りの窓に走りより、嬉しそうな声を上げながら、乳白色の大理石で造られた広いテラスに飛び出してしまう。

 「うふふ~、やっぱりここは気持ちがいい♪」

コトコの歓喜の光宿る黒曜石のような瞳に映っているのは、様々な木々が植えられ、色とりどりの花が咲く広大な植物園。

小鳥達が楽しそうにさえずっている声や、風に吹かれた木々が枝を揺らす音が気持ちよく聞こえてくる。

大きく深呼吸をすると、コトコは瞳を閉じ、植物から聞こえる優しい囁き声に耳をかたむけた。

長く艶やかな黒髪をさらさらと舞わせ、翼を思いっきり広げて気持ち良さそうにフワリフワリと風になびかせている。

 「イリエ君の植物園の皆はとても輝いてるし、いつ来ても楽しそうにお喋りしてる。天才って何でも出来るのね♪」

 「植物の育て方?はっ そんなの日に当たって水分が適度に…それに、この庭が輝いてるのは毎日のようにおまえが…」

 「私が何?」

「……」

 教高神は眉間にシワを寄せ、口を噤んだ。少しの間扉にもたれかかっていたが、コトコの小さな後姿を見ながらため息をつくと、衣擦れの音を立てながら長い足を前に進めた。

 「おい、おまえここがどういう場所か、わかっているのか?」

 いきなり頭上から声が聞こえ驚いたコトコは、翼をすぼめ、肩をすくめながらゆっくりと振り返る。

 「ここ?イリエ君のお仕事場所で~難しい本を読む所だって事は知ってるわよ?」

 「読書の場という事は正解だ、そうじゃなくて…じゃあ何故ここに俺とおまえ以外誰も入った奴がいないか知ってるのか?」

 「え?…難しい本ばっかりだから、天才のイリエ君にしか読めないからじゃないの?」

「……」

 言葉が出ず、額に手を置き頭を左右に振る教高神に気がつかないのか、コトコはテラスから見える植物達の楽園に笑顔を向け、自分の周りに集まってきた小鳥達とニコニコと無邪気に会話し始めた。

 「うふふ…でしょ?ん?…そうそう//////

 「……おい…。」

 暫くしてコトコの背後から、教高神イリエの低く唸るような声が響いた―

 「おい、おまえのその花やら葉っぱやら鳥やらと声を出して話す能力、気をつけろって言ってるだろうが。誰かに聞かれたらどうするんだ。特殊能力者とみなされて天界の大聖天王神デルア様の巫女として献上させられてしまうんだぞ!そうしたらもう二度と、神天界から下りる事は許されなくなる。黒い翼だけでも目立ってるんだから、もう少し慎重に行動しろよ!」

 「でも…ここなら、ほら!イリエ君も言ってたじゃない誰も入ってこないって。なら平気よ!隠れないでみんなと自由にお話しが出来るなんて最高♪」

 そう言い紅潮した顔で近づいてくるコトコから視線をそらすと、教高神イリエは不機嫌そうにさっさと歩き始め、部屋の中央にある白い革張りのゆったり座れる長椅子に肘を付いて座った。

 「来い…」

 「え…私まだみんなとお話しがしたいのに…」

 「いいから来いって言ってるだろ!!」

 「はぁい…」

 激高する声を聞いたコトコは、名残惜しそうに庭から瞳をそらすと、しょんぼりと肩を落としながらとぼとぼと聖教神イリエに近づいた―

 

 

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 ③~

 

 

◇・エデンの光と影・◇~1~

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「きゃんっ!」

 

バササッ―!

 

突然扉の向こう側から飛び込んできた、小さな悲鳴と翼の羽ばたかれる音。

 「ったく、またか…」

 そう ポツリ―と呟いた見目麗しいその男は、教高神イリエ・ティス・ナオキその人であった。

神天界・天使界・人界・天魔界の四つの世界の中で、天使界に属する教高神イリエは、天使界の中でも三本の指に入る、知恵を司る高位天使である。

 容姿は美の女神アプロディタも魅了されてしまうほど美しく、生まれし時授かった天の輪は 一際美しく輝く白金色に光を放っている。

高身長であるにも関わらずバランスの取れた体躯を持ち、教高神イリエが姿を現せば、天使界の住人たちの歓喜の叫び声が上がり、ピンクの騒音で‘何事か!’と治安維持の上級天使が駆け付ける言う事態になってしまう事も少なくはなかった。

 

「もうっ!やめてよ…」

 

再び聞こえてきた、小さな声。

教高神イリエは左右に首を振り、深い溜息を付いた。

 

手に持っていた分厚い本をパタン―と閉じると、ゆっくりと立ち上がり、服装を正しながら書庫のドアを勢いよく開ける。

「…おまえらいい加減しろ!うるさいんだよ、ここが天界でも名のあるトーナン神高等級学園の敷地内で、おまえらはここで 天界、人界、魔空界に関する様々な事を学び、それをまた―ああっ もういい!毎回毎回こんなくだらない事をして、どういうつもりだ?まだ授業は終わっていないはずだ。さっさと教室に戻れ!」

 しかし教高神の言葉にも関わらず、数名の準天使の男子生徒は足元にぺたりと座り込んでいる悲鳴の持ち主を見下ろし、嘲るような眼差しを向けた。

 「でもこいつ、毎日のようにここでウロウロしてるし、バカだからすぐに反応して出すしで、からかいがいが―」

 「こいつが突然変異でダメな天使だって事は皆も知っている筈。相手などしている時間が勿体無いと思わないのか?

 教高神はその言葉と共に、準天使に向かって眼光鋭く突き刺さるような視線を送った。

 

「「「は、はい申し訳ありませんでした!教高神様」」」

 

顔色を真っ青に変えた数名の準天使立ちは、そう言うが早くばたばたと大理石で出来た廊下を早足に走り去り、その姿を消した。

その後姿を眼光鋭く睨みつけていた教高主イリエは、無造作に前髪をかき上げながら、今度はゆっくりと自分の足元に視線を落とした。

 するとそこには、まだまだ幼くあどけない顔をした、準天使の女生徒がペタリと座り込み、長く艶やかな美しい髪を指先でくるくると遊ばせながら、真っ赤な顔でこちらを見上げていた。

 「え、えへへ…ご機嫌如何ですかイリエ君…じゃなくて 教高神イリエ様…」

 「―おまえなぁ、全く!何回言ったら…ちっ、もういい!ほら、はやく書庫に入れ!」

 「ごめんなさい…」

 「いいからっ。それ、どうにかしなきゃだろうが…―ったく毎回毎回…」

 教高神は 黒目がちでまん丸の瞳を潤ませながら立ち上がった少女の頭をポンポンと軽く叩くと、その美しい黒髪を一房手に取り、クイッと引っ張った。

 「もうっ!ひっぱらないでよぅ!!」

 「おまえさ、毎回同じパターンで悪戯されるって分かっているのに、なんでここに来るんだよ」

 「それは~、だから~、わかってるくせに♪へへへ~私はイリエの近くにいないと駄目なの。心臓がキューって苦しくなって、息が出来なくなっちゃうの!」

 眉間にシワを寄せながらも口角を少しばかり上げた教高神は、少女の陶器の様な滑らかな白い頬を指の腹で撫でた後、身長差を意識して腰を屈め、その柔らかい両頬を手の平で包み込み、自分の顔へと近づけた。

 ///あ、あの///イリエ君///

 「なんだよ」

 とうとうぼんっという音が聞こえそうなほど顔を真っ赤にさせてしまった少女は、細くて小さな白い手の平を教高神と自分の口元に差し入れて、ゆっくりと顔と顔の距離を取った。

 「イリエ君///あの、顔近くて//////

 「嫌なのか?」

 「そ、そうじゃなくて///

 「くくっ、意識してるのか?安心しろよ、おまえなんて女天使に見えないし、まだまだ子供だ。相変わらず揶揄いがいのある奴」

 「もうっ!イリエ君のいーじーわーるー!」

 まだまだ子供と言われてしまった女準天使コトコは、潤んだ黒水晶の様な瞳で教高神を見上げながら小さな拳でその胸板をぽかぽかと叩き、可愛らしい真っ黒な翼をパタパタと動かした。

 

ハァ…

 

再びため息をつき、端正な顔の眉間にしわを刻みながらもコトコの細く白い腕を掴むと、教高神は書庫に入り、中から鍵を閉めた。

 

 

 

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②~

◇・エデンの光と影・◇ prologue

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深き闇の淵で 一人白銀の光を纏う 謎深き無垢なる乙女

乙女を知り 乙女の謎を追いかける汝もまた 己の内なる闇の謎を解く為に 共に足掻き続けるであろう  

数多の神々が運命の糸を紡ぎ終わりし刻 翼を持つ獣がそれを天上へと運び  万物の者が七人の御神天使と共に 終焉の刻を迎える 

白銀の乙女 万物の沈黙なる願いを叶える為 選ばれし者

乙女は共に歩を進む旅人を選び その者に白銀の神力を降り注ぐ

選ばれし者は白銀の乙女を永久に愛し 己の全てをもって守る者にならねばならない  

 

それが例え命果てようとも・・・  

 

ラバエ書第13  

 

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◇・エデンの光と影・◇~解説編①~

 

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★かなりの思いつきです((((((ノ゚⊿゚)

 ★天界やら魔界やら「教高神」やら「神高等級学園」なんて、いつもの九戸の勝手な造語です。ちょっとそんな感じの雰囲気な名前をつけているだけです。

「教高神」イリエ←頭良さそうくないですか?

 (-^^-)これからも色々造語連発しますが雰囲気で読んでクダサイマセ!

 

 

★一応こんな感じの設定です。

 ・天輪~天使の輪

・琴子ちゃん→アイハラ・ノアルン・コトコ(16才)

天然かつ感受性の強い性格(つまり九戸の想像上の琴ちゃん。)

植物や動物とお話しができちゃいます。無邪気な見習い準天使。

天輪→(水色っぽい銀)があるので天使扱いですが、翼や瞳、髪は真っ黒です。

 母親はすでに亡くなっていて、数年前から教高神イリエのお家に居候中。 

お父さんのアイハラ・クルト・シゲオは、今はディオニュソス神(酒を司る神)に料理の才を認められて冥王星まで出稼ぎ()中。

 

・直樹→教高神イリエ・ティス・ナオキ(23才)

今のところ天使界での知恵を司る高位天使設定。

天輪→(白っぽい金)

イリエ家は天使界でTOP3に入る高位階級の家柄です。

イリエ・アティア・シゲキの妻であるイリエ・チュス・ノリコとの間に長男として生まれてます。弟が1人、イリエ・ティア・ユウキ(12才)

 大聖天王神デルアの命令で「トーナン神高等級学園」の近くに建てられた書庫(一般の天使は出入り禁止の図書館みたいなもの)で管理者として働いてます。

 ・ラバエ~運命(未来)を見る事の出来る唯一の女神様(謎だらけ)

・教高神ナオキとコトコ以外の天使達の天輪→(黄色っぽい色)

上級の天使になればなるほど、白い色が強くなってきます。

 

以上解説其の一でした~(;^_^A

 

 

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