◇・エデンの光と影・◇~7~

 

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やがて書庫内に漂い始めた、香ばしい珈琲の香り。そしてそれとは正反対の、花の蜜が入った甘いホットミルクの優しい香り。

 眉間にシワを刻み、機嫌悪そうに珈琲を飲む教高神イリエの隣には、コトコがホットミルクの入った淡いピンク色のマグカップを持って、子猫のようにちょこんと座っていた。

 「イリエ君、珈琲美味しい?」

 「ああ、美味い」

 あまりにも機嫌の悪い教高神の顔を覗き込むように首を動かすと、教高神は黙ったまま一気に飲み干し、マグカップ越しにコトコをギロリと睨みつけた。

 「あの…私何か…」

 「別に」

 「でも…」

 「煩い」

「ごめんなさい……」

 それきり、コトコが何を話しても、教高神からの返事は無かった―

 

 

 

 

「飲み終わったか」

 「うん…」

 コトコがミルクを飲み終わるのを待っていた教高神は、そう確認すると、小さな手の平からカップを取り上げ、ローテーブルの上にコトンッと置いた。

 「――じゃあ、少し力返してもらうから、こっち向けよ」

 「うん…///

 コクリ…小さく頷いたコトコは、頬をぽおっと火が映えたように赤らめると、長椅子に座った教高神と対面するように立った。そして華奢な両腕を震わせながら、ソロリと細い両腕を首に巻きつかせる。

教高神は、まるで幼子を扱う様にコトコの両脇をヒョイッと軽く抱えて持ち上げると、翼をおさめた時と同じように、自分の膝の上に座らせてしまった。

他の天使が見たら、一体どう感じるだろうこの二人の姿…

しかし教高神の表情は変わる事無く、ただ平然としているだけだった。

 「イリエ君…っ、あの……これって…私、神力を返してるんだよね…」

 「なんだよ、いつもの事だろう?最初に話しあったし、おまえだって了承済みの事だ。今更なんだよ?」

 「うん…でも、それだけ…っかなぁ…なんて…//////

「…は?何言ってるんだ?…いいからさっさと口開けろよ……」

 躊躇いながら瞼を閉じ、長いまつ毛を震わせたコトコ。

ぽってりとした唇をゆっくりと動かし小さな口を開くと、そろそろと可愛らしい舌を少しだけ出した。

 「ん…///

 「いつになったら覚えるんだ?毎回言わせるなよ、それじゃ届かないだろ?」

 「…んッ……//////

 眉間にシワをよせ、更に瞼をぎゅっと瞑ったコトコは、教高神の指示通りもう少しだけそろりと舌を伸し、鼓動をしずめる為に大きく肩で呼吸を繰り返していく。

教高神はそんなコトコの頬を包み込むように両手の平に治めると、ゆっくりと顔を近づけ、差し出された小さな舌を自分の舌先にあてて、絡ませながら唇を重ねていった。

 「んんッ…ぅ…、ん…ッ…」

 逃げようと捩る細い腰を片手で引き寄せ、ぴったりと隙間なく重なり合った唇を食んでいく。

コトコの頬がまるで赤い薔薇のような鮮やかな色へと変色し、滴を湛えた長い睫毛がピクピクと動き始める。

額から珠のような汗が伝い始めると、その身体から花の様な甘い香りが漂い始め、書庫の雰囲気が静かに変化しはじめた。

 テラスからの吹きこむ風も無い、小鳥のさえずる音も聞えない、二人だけの世界―

 教高神は手の平を後頭部にずらすと、上唇、下唇を扱くように甘噛みし、巧みに舌を動かしながら狭い口内全てをまるで我が物とでも言う様に嘗めつくしていく。呼吸が出来るようにと何度も顔の角度を変えながら唇を貪り、舌の付け根や上顎に狙いを定め、執拗にその場ばかりを攻め続ける。

 「ッぅ……ん…ふぅ…んくぅ……ふ…」

 教高神の目的は、口内を刺激すればするだけ溢れ出て来る、甘蜜…

 コトコは必死になって教高神の上白衣を握り締め、身体を震わせながら耐え続ている。

そんな小さな黒天使の姿を薄目を開けて目に映し、教高神は満足そうに舌を絡めていく。

 「ん、ぅっ……ぅ、ふっん!」

 やがて溢れ出した、甘蜜の味の唾液。

教高神は自分の舌を可愛らしく柔らかい舌に力強く絡みつかせ、全てを飲み込むようにきつく吸い上げた―

「ふぅ!…ンッ!!ぅんんんッ!」

 

 書庫の窓際にある、小さな水時計。

美しく幻想的な光を放ちながら、クルリと上下を逆さまにするだけの水時計。

空の色が変化したのを知らせるように、水をオレンジ色に光らせると、また音も無くクルリと回った。

 

短いようで、長い時間行われる二人の密事。

甘蜜をこくりと体内に取り込んだ教高神は、静かに唇をはなした。

「っ…はぁ………」

 離れてはまた重なり、また離れて行く…そして名残り惜しいとばかりに、再び重なる二人の唇。

やがて二人の唇は、光る糸を引きながら、ゆっくり離されていった。

 「…イリ……君………」

 名前を呼びながら意識を飛ばし、教高神の腕の中で崩れ落ちていくコトコの身体。

唇の端からこぼれた甘蜜は白い首筋を濡らし、キラキラと夕日に照らされ光り輝いている。.

教高神はコトコの首筋に舌を這わせ、光を放つ甘蜜を綺麗に舐めとると、息を荒げたまま気を失ってしまった黒天使を抱きかかえ、静かに長椅子に横たわらせた。

 

同居し始めて数年、年齢も離れ、恋人同士でもない二人。でも唇を重ねるのは当たり前の事で、それにこれは、必要に駆られての行為。

 教高神はなんの躊躇いも無くこの密事を続けてきたが、これからもそのままでいいのかと考えあぐねいていた。

 何かが胸の奥で、引っかかるから

 「………いいん…だよな…」

 コトコの目尻から溢れた涙を親指の腹で拭いながら、教高神はそう呟き、柔らかいひざ掛けをその身体にそっとかけた。

 

 

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“◇・エデンの光と影・◇~7~” への 2 件のフィードバック

  1. 二人の甘いキスシーンは 台湾イタキスの新婚旅行を思い出してドキドキしながら 読んでます^_^
    素敵なシーンをありがとうございます😊
    続き楽しみにしてます

    1. さくらこ様

      訪問有難う御座います(⋈◍>◡<◍)。✧♡
      イタキスworldを壊さない様にと、必死の仲良し甘々Kissシーンのつもりなのです(;´∀`)
      やっぱりあの新婚旅行シーンは最高ですよね!思い浮かべながらの妄想が半端ないですわ//////(*´艸`*)//////
      頑張って終了させますので、今後とも宜しくお願い致します!!

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